第11章の3は長期的な影響として物質使用や乱用をもたらすことがある
第 11 章の 3 は性加害による長期的な症状や影響で す。 症状や影響は Sequela の訳です。 辞書では後遺症ですが。 ここでは長期的な影響として、 身体症状と不安、感情障害と自殺のリスク、物質 使用と乱用、 摂食障害、被害者の家族 などがとりあげられています。 性加害は 幅広い領域にわたって長期間、重篤な影響を加えつづけます。 ” 物質 使用と乱用”では、大量飲酒 や物質乱用に向かうのは、 「身体症状や 抑うつに対する自己治療 、あるいはリラックスするために過度の過敏さと不安から逃れる」 (p.173) のどちらかに関連しているかもしれないと指摘されています。 ここでいう「自己治療」とは自己治療仮説といわれ、薬物やアルコールなど物質に頼るのは「 心理的苦悩を緩和し、多少なりともしのぎやすくする」 (カンツイアン & アルバニーズ 2013 p.157) ためであるとする説です。薬物やアルコールなどは、よい気分や心地よさを求めではなく、心理的な苦痛を和らげるためだというのです。こうした方法は一時的で依存性を強める危険があり、良い方法とは言えません。被害者には二重の苦しみがもたらされる可能性があります。 感情的なストレスがかかると、ストレスにも感情にも負けないようにコントロールしようとする、さらに他者・状況・環境に対するコントロールの感覚を取り戻そうとします。コントロール願望が強まります。「 助けがない感覚を和らげるために外部のコントロール源」、つまりアルコールや物質を求め、それらによって気分が良くなったと空想のうえで解決します。 こうした思考のパターンは、 性加害サイクルで観察されたパターンと似ていると指摘しています。 一方で、 問題行動といわれるものの背後に被害体験の存在に気づくのは稀ではありません。 性加害サイクルは本書の中心テーマです。サイクルは時間経過における認知、感情、行動の円環の連鎖を表す考え方で、直線的な因果関係をしめす概念ではありません。また、空想による解決という表現も本書のキーワードの一つです。 必要なのは、感情にストレスがかかっているとの気づき、その不快な状況に対する健康的な対処法の獲得です。助けがないという感覚に対するケアも重要です。 『人はなぜ依存症になるか ー自己治療としてのアデイクション』エドワード・J・カンツイ...