久闊(きゅうかつ)通信はじめましてー『性暴力「起きた後/起こる前」に支援者は何ができるか?』ご紹介

このたび、久闊きゅうかつ通信に投稿します、心理士のちえです。

児童福祉、障害児者福祉の公的機関で心理職として従事したのち、現在は、カウンセリングルームのほかに、障害福祉支援施設、矯正施設、支援学校、精神保健機関等で心理臨床に携わっています。

今回、初めてのブログ投稿です。この久闊きゅうかつ通信の主と一緒に取り組んでまいりました様々な研究活動を中心に紹介させていただけたらと思っております。まさしく、久闊となると思われますが、ゆるりと続けてまいります。

さっそくですが、金剛出版より、専門誌『臨床心理学』146巻第2号が発刊されました。特集は『性暴力ー「起きた後/起こる前」に支援者は何ができるか?』

心理臨床家のなかにも学童期に包括的なセクシャリティ教育を受けていない人は多いことや、臨床心理の教育機関でも性暴力というテーマがほとんど取り扱われていない現状の中で、現場に出て初めて「性暴力」と言う問題を扱う現状を、遠ざける事なく言及しています。また、心理臨床の現場においても「性暴力」を扱う際に強い抵抗が働くことも含めて、特集の題目でもある投げかけに自戒を込めた論考から始まります。後半は、「性暴力」に関わる様々な分野における取組、理解、現状が述べられています。性犯罪にかかわる法律の改正、司法面接、子どもの被害、子どもの性問題行動、女性の被害者の支援、男性の被害者の支援、LGBTQA+の被害者の支援、性暴力加害者への対応、そして終盤には、予防のための対応として、学校現場、障がい福祉領域、企業や病院におけるセクシャル・ハラスメント等、各領域での対応が取り上げられています。

この特集で「障がい福祉領域における性暴力被害者支援を考える」を執筆しました。知的障害や発達障害を中心に、障害特性と性暴力被害の関連について触れています。

障害を持つ人々は性暴力被害にあうリスクが高いとの調査・研究結果があります。障害福祉支援者には、性暴力が実は身近に多く存在すること、その影響はどんなものなのか、そして「性暴力が起きた後、起こる前」にどうすれば良いのかを知っておいてほしいと考えています。

わたしがこの特集を有意義だと思うのは、性暴力の被害者に関する論考だけではなく、性問題行動が起こる背景についてや、加害者の理解の視点と加害者への治療プログラムを解説した章が設けられていることです。そこには、性暴力加害者が抱える被害者としての側面を理解することの重要性が記載されています。

わたしたちが2004年ころに着手した知的障害や発達障害を持つ人が抱える性問題行動へのアプローチに関する研究においても、当初より問題行動と対象者自身の被害体験(被虐待体験)に非常に高い関連がありました。知的障害児者、矯正施設入所者などの性問題行動の理解には、加害者自身に過去に被害体験があったならばその影響を視野に入れた理解と介入が必要であると考えて、そのためのアプローチの検討を進めてきました。

心理士が常駐する障害福祉事業所は少ないのが現状です。障害児者福祉領域では対象者の支援に関わる人たちは、支援する対象者が、性暴力、また性暴力だけではなく他の被害にもあいやすいことを認識し、そして被害によってどのような影響を受け、どんな症状や困難が起こるのかを知っておくことが必要です。その理解の上で、被害者支援のアプローチを生活支援に役立てる必要があります。性暴力が起こった場合には、支援者に性暴力被害に関する正しい理解が不可欠であることを伝え広めていくことが必要であると改めて考えています。

今後、これまでの研究活動での取り組みを振り返りながら、書き進めたいと思います。

まだまだ寒さを強く感じますが、我が家の庭ではクリスマスローズがたくさん咲いてきました。少しずつ少しずつ、春が近づいていることを感じます。

次の投稿はいつになることやら、かなり暖かくなってからかもしれません。先に、久闊を叙します。

ちえ



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