第13章「発達コンピテンス」などを対象にアセスメントする(その2)

  その1ではアセスメントの考え方、手法やポイントを概観しました。その2として、アセスメントの項目や調査、面接行ううえでの留意点などを取りあげます。

 対象である未成年者とやりとりしますが、思春期の不安定さもあって予測や見立ての確実さが弱まるおそれがあります。加えて、面接や補足的文書に重要な情報が欠けていたり、誤って伝えられていることもあるかもしれません。また初期の見立てや仮説が不十分で支援の方向性を誤る可能性もあります。こうしたことを修正していくために、はじめに設定した変数だけではなく未知の変数を探求するなど「継続的アセスメント」が必要です。

 面接では、加害者は否定や矮小化のおそれがある一方で、逸脱した行動や衝動は誰にも理解されないと思いこむことがあります。面接者は非難や叱責におちいることなく、認知の歪みに注意しながら、加害者が話すストーリーを聞き取ります。きわめて個人的な感情表現やその人だけに分かる意味を持たせた表現にも注意します。性に関しては特に多いようなのでタイミングよく確認します。

 アセスメントの対象として次の領域があげられています。精神の状態、発達/家族/社会性の履歴/リストリー、教育・知的機能、パーソナリテイ・メンタルヘルス等、発達コンピテンス、現在の個人機能、現在の家族機能です。

 「精神の状態」とは、外見、行動、会話、気分にとどまらず、感情や思考の流れ、時間と場所への順応、集中力などです。

「発達/家族/社会性の履歴/リストリー」とは過去の変わらない静的な要素で、認知や感情など次の「発達コンピテンス」にも関連します。その人の考え方や感じ方が組織化されたスキーマが形成され、他者からの言語的/非言語的発信の受け取りや解釈(社会的情報処理)に影響します。

 「発達コンピテンス」Developmental Competence (p.208-209)とは、「認知、社会/感情、倫理、身体、言語の各領域において・・(一部略)・・、各年齢や各段階に応じて十分に機能するスキル」とされています。APAなどを参考にすれば、ある問題や課題に効果的に対処し、自分の行動や環境を変化させる能力/力量のことですが、コンピテンスは英語のままです。このアセスメントでは別資料を援用して具体的なポイントがあげられています。その一部を紹介します。

  (1)親密さ、信頼(関係)、人間関係を形作る
  (2)グループで決めることに参加し、個人間のトラブルに対処する
  (3)フラストレーションや都合の悪い嫌な出来事に折り合いをつける
  (4)すぐに満足できなくても取り組む
  (5)リラックスする、楽しむ

 できるかできないかではなく、スキルを持っているかどうか、それを生かしているかどうかに着目します。これらはどれも簡単なことのように思えますが、詳しく調べると苦手にしていることがあり、孤立や退屈という厄介な問題に遭遇することがあります。

 例えば、言語は発達の領域ですが、社会でのコミュニケーションも含めます。語彙の量やコミュニケーションの意欲や正確さだけでなく、親密さなど人間関係の形成のスキル(1)をも含むので、自己主張するだけでなく相手の意図を理解し時には受け入れるといった面である(2)や(3)にも関連します。環境とのつながりも含めた点が、前回に書いた「発達―コンテクスト」という2つの軸による枠組みの特徴です。

 
閑話休題。朝、早春の海の写真です、むこうは紀淡海峡。Rollei 3.5/75mm Xenorレンズの緑とオレンジがかった淡い色合いです。波の感じは出ていますが、空と海のさかい目がふわっとしています。たとえ補正をかけても今のカメラで撮ったようにカリッとしたものになりません。現像されて写しだされた写真は記憶とはべつの世界の風景のようです。

(タカシホンダ)


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