第14章 ケアの連続性がケアの質を高める
Ryan, Leversee, and Lane(2010)の「未成年者の性加害(仮題)」を再開します。第14章「連続的なケアによる包括的なサービス提供」Comprehensive Service Delivery With a Continuum of Careです。
この章は、アメリカの少年(未成年者)司法の制度を下敷きにしています。安東・松田・立谷(1999)によりますと、 アメリカの少年司法制度は各州にゆだねられており、仕組みなども成人とは異なっています。少年裁判所が管轄する年齢の上限は18歳未満が多いですが(37州)、下限は10歳とする州(11州)が多く、明確な定めがないようです。
また未成年司法に関わる施設の名称も(翻訳上)似ていますが、わが国とは異なるところあります。詳しくは文献をご覧ください。
性加害未成年者のアセスメント結果はそれぞれ違っており一様ではないこと、性加害未成年者と他の加害を行った者との間には共通点があること、性犯罪の再犯率は低いけれども他の非行行為では高率であること、などが明らかになってきました。一方で、成人と同様の司法手続きや登録、地域社会への通知など彼らに対して厳しい対処がなされるようになりました。こうしたことを背景に支援や指導の考え方が検討されます。
性加害は行動(の種類)であって診断名ではありません。慎重な個別化、アセスメントが重要であり、「一律に対応する」アプローチは禁物だと指摘しています(p.225)。したがって、盛んに行われているグループによる認知行動療法が必須とは限らない。臨床上の判断は、性加害が「全体としての子ども」という文脈で起こっているという包括的な理解にそってなされることが重要です。
支援を受けるサービスが連続しているからといって、ケアが連続しているとは限りません。それまでの経過や各種アセスメント結果、支援の必要度などから、支援が開始された環境から、その後の本人の状況や支援の進展程度などに応じて生活や支援の環境が変更されるほか、各種の制限が比較的高度な環境から穏やかなところへ変更されることもあります。こうした変更にあわせて、心理支援や教育の担当者も変更され、生活支援担当者や時には養育者も変更されることもあります。
このような変更は、どの若者にとってもストレスとなるものであり、ケア/養育の崩壊、人間関係の破綻、愛着の問題がこれらの若者の行動問題の要因となっていることを考えると特に破壊的であると言える。(p.226)
養育、対人関係、愛着の課題が加害と重なっている可能性を考えると、支援を実施する人や支援の環境におけるケアの連続性は最も重要なポイントです。
支援の継続性を維持するためには、第一に、技術、目的、戦略の変更が必要になるかもしれないが、基本的な治療の方向性は同じであるべきであること、第二に、一貫した人材で支援を続けることが難しいことがあったとしても、特定の支援者と対象者との関係を維持するためにあらゆる努力が払われること、この2点が必要だとしています。
質の高い治療、人間関係の一貫性、経済的効率など、関連するあらゆる側面において、連続的なケアの展開は、性加害を行う青少年の安全なマネジメントと質の高い介入に不可欠だ。(p.227)
わが国においてはどのような制度のもとで支援するかによりますが、アメリカでは加害未成年者とそうでない別の問題行動のある未成年者などを混成して居住させ支援することがあるそうです。
混成しての支援あるいは分離しての支援の選択にあたっては、治療・支援プログラム、リスク管理、教育等に含むべき社会経験の内容などについては、問題行動だけで判断すべきではなく、当然のことだと思われますが、安全を確保するための厳格な基準と手続きのガイドラインは必要だとしています。構造化された環境を設け、関わる職員やスタッフに対して性問題行動に対する研修も重要だと結んでいます。
写真は飯田線小和田駅。近くに民家が見当たりません。 タカシホンダ
安東美和子・ 松田美智子・ 立谷隆司(1999) 『アメリカにおける少年非行の動向と少年司法制度』 法務総合研究所研究部報告5 https://www.moj.go.jp/housouken/housouken03_00050.html)


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