『被害者を理解するための気もちの言葉エクササイズ』ではオノマトペを活用しています
『被害者を理解するための気もちの言葉エクササイズ』の大きな特徴はオノマトペ(擬音語擬態語)を活用していることです。
「ぶるぶる」「しんしん」などオノマトペは、アイコン的で、対象を視覚的あるいは聴覚的に(日本語の発音で)写しとった類像性をもつ言葉だといわれています(山口, 2015)。またオノマトペが擬音語、擬態語、擬情語とも言われているように、視覚、聴覚、触覚、身体感覚などの経験ー身体性が強くー、感情や状況とのつながりが明確な表現です。 「体験の生き生きとした『イメージ』を呼び起こし強い影響を及ぼす」(Kita, 1997, p.13)という特徴を持っています。臨場感をもたらすオノマトペは、読み手に連想をもたらし参加を求める表現を備えており、自己や他者の感情への理解を容易にする言葉ではないかと思います。
- 音韻の繰り返しが多くその40%を占めるという。「こんこん」(狐の鳴き声?)「ごんごん」(重い鐘が連続してなる)
- 「ころころ」(軽いものが転がる)、「ごろごろ」(重いものが転がる)では、「ころ」は一回転、「ころころ」は多回転である。音韻は象徴的で、視覚的イメージが重なりある。「きっと」、「ちょくちょく」のように何を象徴しているのかわからないものもある。
- 「クタクタ」と「疲労」の意味は近いが、オノマトペである「クタクタ」は、「①ひどく疲れた様子②衣服や書類、葉物の野菜などがしなびた様子③全身の力が抜けてしゃがみ込む様子」(擬音語・擬態語辞典 講談社学術文庫)など視覚経験や身体感覚に近く、独特の意味表現である。一方、「疲労」は、「①つかれること。くたびれること(②医学的説明③金属疲労の意)」(大辞林)を表し、先に述べた文脈から切り離された「分析的次元」(Kita. 1997)の意味に属している。
- 口語での使用が多いこと、「わんわん」「ないない(片づける」など幼児語的とみなされることがある、「グォーーん」「バキッ」など漫画における創造的効果音的役割がある、など。
こうした特徴から、オノマトペは被害時の被害者の様子や言動をとらえ、感情と身体感覚へのつながりなど、被害や被害者を理解するための気もちの言葉エクササイズ者をイメージしやすく、感情への意識を高め、被害者への理解を深める効果が期待できます。
刊行を準備している『被害者を理解するための気もちの言葉エクササイズ』は、17の課題のワークシートと感情についての考え方、ワークシートの実施法やその背景などを解説した部分の2部構成です。
秋田喜美(2013) オノマトペ・音象徴の研究史 篠原和子・宇野良(編) オノマトペ研究の射程:近づく音と意味 ひつじ書房 pp.333-364
Kita, Sotaro (1997) Two-dimensional semantic analysis of Japanese mimetics. Linguistics, 35 (2). pp. 379-415. doi:10.1515/ling.1997.35.2.379 Permanent WRAP URL: http://wrap.warwick.ac.uk/106489 WRAP-two-dimensional-semantic-analysis-Japanese-mimetics-Kita-2018-1.pdf
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